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思文閣のアートフェア

12 25, 2015
今年度入社しました中国・広東省出身の黄(ホワン)と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

思文閣は、10月、および11月に香港、ソウルと台北で開催されたアートフェアに出展し、
なかでも私は中華文化圏である香港と台北のアートフェアに出張しました。

Art Taipei
Art Taipei @台北

思文閣のブースでは、日本前衛書の先駆者である井上有一の書をはじめとした、森田子龍や山口長男など重要な戦後前衛美術作家の書、「油彩山水画」と呼ばれるスイス人の現代作家コンラッド・ヨン・ゴードリーの油絵や、ベネチアを拠点とする京都出身のガラス作家三嶋りつ惠のガラス作品といった、国境や時代、ジャンルを越えた作品がコラボレーションした展示を行いました。

「アートフェア」(英:art fair)ということばは中国語では「藝術博覽會」(芸術博覧会)と表現され、アート界の万博と言っても言い過ぎではない、国際アート業界の盛事です。
アートフェアは、一週間にも満たない短い会期に世界各地のギャラリーが一堂に会し、大きな展示場のなかに一つのブースを与えられ、自らが取扱う作家の作品を展示し販売します。
よく見慣れた作家の作品でも美術館やギャラリーの見せ方とは違いますので、ほかのアート施設では目にしないような珍しい、或いはありえない(いい意味でも悪い意味でも)展示が見られる機会です。

各出展ギャラリーのブース内はともかくもそれぞれ斬新な作品の組み合わせに挑戦し、フェアの全体的なレイアウトによってギャラリーのブースが並んでいる様も興味深く感じられます。
特に、10月4日から7日まで香港コンベンションセンターで開催されたアートフェア、Fine Art Asia(ファインアートアジア)では、美術に限らず、骨董、工芸専門のギャラリーなども多く出展していました。
時代、国境、ジャンルを越えた展示の数々は、美術と工芸作品の新しい楽しみ方をもたらしてくれます。

Fine Art Asia
Fine Art Asia@香港

近年は「アートフェア時代」と呼ばれ、世界各地でアートフェアが盛んになっています。
2015年には269回アートフェアが開催されると報道がありました。
コレクターやアート業界の方々、およびアート愛好者たちは、それぞれ参加したいフェアのスケジュールに合わせ、旅程を立てていらっしゃるようです。
もし海外旅行に行く機会がある方は、気になるアートフェアと合わせて計画を立ててみるのはいかがでしょうか。

思文閣も、来年2016年1月にシンガポールで行われるアートフェア Art Stage Singaporeに出展いたします。シンガポールへお越しの際、是非お立ち寄りください。

ART STAGE SINGAPORE 2016  Booth E20
2016年1月21~24日 @マリーナ ベイ サンズ
アーティスト:コンラッド・ヨン・ゴードリー、井上有一、三嶋りつ惠



Shibunkaku
Booth E20
ART STAGE SINGAPORE 2016
21 – 24 January, 2016
Marina Bay Sands, Sands Expo & Convention Centre, Level B2
10 Bayfront Avenue, Singapore 018956

Artists
Conrad Jon Godly, Inoue Yuichi, Mishima Ritsue

(黄)
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思文閣大交換会 開催中です!

12 10, 2015
今月1日より開催してまいりました、今年最後の思文閣大交換会。
いよいよ今週末が入札締切となりました。

kokankai201512.gif

◆入札締切日時
 平成27年12月13日(日)17:00 必着


思文閣大交換会とは、弊社の約一万人の日本美術愛好家のお客様からご出品を募り、市場にはまだお目見えしていない逸品・珍品をご紹介させていただく入札会です。

今回のみどころは、西郷隆盛(南洲)や大久保利通(甲東)といった幕末明治の志士達の遺墨、
硯箱や懐石道具などの文房具や食器類の蒔絵や漆のお道具。それぞれまとまった愛蔵にかかるご出品を賜り、その時代の息吹をも感じさせる豪華な内容となりました。
また、木彫やブロンズなどの様々な表情の像や人形にもご注目くださいませ。

もちろん、毎度ご好評いただいております、横山大観や前田青邨といった近現代絵画や、茶碗から水指、棚物までのお茶道具も変わらず充実。
全国津々浦々より集いました逸品珍品の数々、まずはご一見の上、是非この機会にご入札ください。

オンライン入札目録では、高精細な画像や、複数のカットの画像をご用意し、
より作品を詳細にご覧いただけるようになっております。
検索機能も充実しており、そのまま入札のお申込みまでしていただけます。

オンライン上で作品をご覧いただきながら、そのまま入札申込ができるオンライン入札目録。
この機会に是非ご利用くださいませ!

オンライン入札目録はこちらからどうぞ!

また、入札期間中、ぎゃらりぃ思文閣にて、下見会を行っております。

正面

1Fの展示


◆下見会場
ぎゃらりぃ思文閣:京都市東山区古門前通大和大路東入元町386 地図


皆さまのご入札、ご来店を心よりお待ちしております。
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Our ongoing Shibunkaku Art Auction – December 2015 offers a diverse body of Japanese art and antique, ranging from paintings by eminent Modern artists, works by the Edo masters to antique pieces, including important tea ceremony utensils.
All lots being offered for sale can be viewed at our gallery until the Bid-closing Date.
We hope you enjoy browsing on our online catalogue, and look forward to your biddings on desired works of art.
Online Catalogue

Online Browsing and Bidding Dates : 1 - 13 December, 2015
Bid-closing Date 17:00 JST, 13 December, 2015

「光悦ふり」に向き合う

11 19, 2015
こんにちは。
この春入社いたしました、三浦と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

最近、古門前通のあちこちに張り出されているこのポスター。

miura1.jpg

目にした途端、茶碗の美しいフォルムに心を奪われ、さっそく美術館へ足を運んでまいりました。

低い高台の上に腰をゆったりと張らせ、優美な曲線を描きだすこの器形は光悦独特のもの。
侘びの精神を重んじ、装飾を排除してきた茶碗の世界に、光悦が変化をもたらしたのです。
本展では、光悦と樂家歴代、半泥子など光悦の影響を受けた人々の作品が展示されており、
光悦が陶芸、そして茶の湯の世界に与えた影響を概観できるようになっています。

なかでも感じ入ったのは、当代樂吉左衛門の作品。
茶碗の常識を打ち破る造形、釉薬による抽象絵画のような装飾。
なんともチープな感想ですが、「カッコいい~!!!」と感動して本まで購入してしまいました。



miura2.jpg


miura3.jpg

当代樂吉左衛門自身による詩やエッセイが添えられた作品集です。
茶碗づくりを通して茶の湯の本質を鋭く問う、考えさせられる本でした。

……さて、よいものをたくさん観たところで、
「(一応)趣味は陶芸(自称)です」と言っているからにはやっておかなければと思い、
つくってみました。私なりの「光悦ふり」。

miura4.jpg

作陶中はもっぱら久しぶりに会った友人とのおしゃべりに興じ、
自己との対話や茶の湯の精神などとは程遠いものでしたが、よい休日になりました。


(三浦)

「舟越桂 私の中のスフィンクス」展をみて

10 01, 2015
こんにちは、今年度4月に入社しました、糸永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私事ではありますが、先日、「舟越桂 私の中のスフィンクス」展を観に、
兵庫県立美術館へ足を運びました。
舟越桂(1951年盛岡市生)は今日の日本を代表する具象彫刻家で、
その作品は国内外問わず多くの美術館に展示されています。
また、作品の写真が小説家・天童荒太氏の著作の表紙にしばしば用いられていることから、
ご存知の方も多いかと思います。
かくいう私も舟越桂の作品を知ったのは、高校生の頃手に取った
『悼む人』(天童荒太著、文春文庫、2008年)がきっかけでした。

さて、同展会場に足を踏み入れると、一室の中央にそっと配置された「月の降る森」が
出迎えます。壁・天井・床すべてが白色で彩られた明るい部屋の中で、全身に青白く
影をまとった女性の神秘性が際立っていました。白く美しい胸元は、そこに当たる
目に見えない光の存在をも感じさせます。

IMG_0095.jpg
「月の降る森」2012年、メナード美術館

 その後、展示は「1章 1980~1990年代初め」「2章 1990年代初め~2000年代初め」
「3章 2000年代初め~現在」と続き、年代ごとに作風の変遷をたどることができます。
なかでも印象に残ったのは、第1章の初期作品群でした。楠を材とした胸像と大理石の
玉眼というスタイルが確立したこの時期、作家は性別をはじめ、表情、髪型、服装など
多様な人物像を制作しました。わずかに外向きに入れられた瞳の表現によって、
観者はいくら見つめても人物たちと目が合うことはなく、それゆえ作品にはどこか瞑想的、
内省的な雰囲気が漂います。こうした表現は、一見多彩な個性を有するこれら作品群に、
ある種普遍的な精神性を共通して与えているように感じられました。

IMG_0094.jpg
「冬の本」1988年、作家蔵

2章以降は、胴体を山に見立てた人間や半人半獣のスフィンクスなど、「異形」の作品が目立ちます。
自然と人間、人間と獣といった二面性を持つ作品群は、詩的なタイトルと相まって、
観者に豊かな想像を促します。
このように今回、初めて舟越桂の作品を実見する機会を得ましたが、鑑賞を通じて、
自分自身とも普段よりゆっくりと向き合えたようで、とても心地よい時間を過ごすことができました。

(糸永)

明治の陶聖 板谷波山

09 13, 2015
この春に入社しました、成木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

先日、「HAZAN」という映画を観ました。

HAZAN [DVD]HAZAN [DVD]
五十嵐匠

2004-10-23

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この映画は、日本の近代陶芸を開拓し、陶芸家として初めて文化勲章を受章した
板谷波山を主人公とした伝記的映画です。
映画では、彼が石川県工業学校の教職を辞して陶芸家として生きる道を選ぶところから、
有名になりはじめるまでの、たいへん貧しく厳しい生活の様子を描いています。

教師としての安定した生活を捨てて「やきもの屋になる」と決意したとき、
彼には妻と幼い3人の子供がいました。
金沢から東京の田端に窯と住居をつくって引越したときには手元に七十五銭しか
残っておらず、その生活は困窮を極めます。
ようやく初めて窯に火をいれたときは温度を上げるために必要な薪の量を見誤り、
近所を走り回って薪を貰ってもまだ足りず、妻のまるは雨戸を叩き壊して燃料に
してしまいます。
二度目の窯では地震におそわれて作品がほぼ全滅し、このときの売り上げで
支払いをする予定だった借金が重なっていたために、まるは
「傷を隠すように上絵をすれば充分に値打ちがあります」と必死に頼みますが、
波山は中途半端なものは売れないと言い、全てを叩き割ってしまいます。

本当に、壮絶な明治人の生き様を目の当たりにできる美しい映画であると思います。
全編を通して台詞や音楽は少なく、登場人物も沈黙のシーンが多いのですが、
そこから生まれるいいようのない「間」が、それぞれの人の持っている意志の強さを
感じさせます。
特に二度目の窯の失敗のとき、妻には「子供を飢え死にさせるおつもりですか」と
言われるのですが、それでも一切妥協を許さずに無言で作品を打ち砕く波山の姿は、
ある種の「狂気」に近いものさえ感じさせます。
また、それほどの信念をもって作陶にうち込んだ波山を支えた周囲の人物もまた魅力的です。
特に妻のまるは、夫の志を応援したいと思いつつ、幼い子供たちをどうにか食べさせてゆきたい
という葛藤から激しく悩みますが、それでも見事に力強く一家の生活を支える様子が描かれて
います。
また、土の塊から波山の理想の器形を生み出す轆轤師の現田市松、
波山の生活を心配してしばしば田端の家を訪れては「子供たちへの牛肉代」として
無理やりお金を渡していく新納忠之介など、明治から大正時代にかけての人々のもつ
温かい人間関係も見ることができます。

今でこそ偉大な芸術家として名高い板谷波山ですが、その人生にはかくも厳しい時代が
あったのかと思い知らされる作品でした。
単に映画として観ても、大変美しい、日本人の感性を揺さぶる名作であると思います。
まさに「かつて美しき日本人がいた。」というコピーそのままの映画です。
興味のある方は、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

(成木)
プロフィール

shibunkaku

Author:shibunkaku
思文閣社長 田中大と思文閣のスタッフによるブログです。
思文閣は古美術・古典籍売買、美術館・ギャラリー運営、出版業など多様な事業を通して、日本文化の継承につとめています。

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